
男と思えぬひときわ白い肌が暗がりに映えて、青白くも見えた。
その儚さに、女は息を飲む。
この人は今にも、消え入りそうな、そんな人生の予感を感じさせる。
彼女は、その手を引き留めたくて仕方がなかった。
たとえこの命をかけたとしても。
「あなたとこれっきりにしたくはない。どうか、再びこのような楽しい夜の宴を過ごしたい」
「私もそう思います」
敵方であろうとも、風流で才のある男を、周囲は手厚くもてなし、管弦などに興じていた。
そのひと時で出会った、彼女と。
管弦が終わっていざ退出しようなどと、その袖を離すことなどできるはずもない。
「ただ、私は捕らわれの身。あなたをどうすることもできない。でも、このままでは惜しい気がするから、もう少し傍らに」
自身の我儘であることは承知の上で、男は、女の手を強く握りたくとも握れずに。
「あなた様のお気の召すままに」
言葉など不要と言わんばかりに、彼女の瞳は彼と在ることを望んでいるのは明白だった。
先が短いと分かっていても。
今日は殊更長い夜だことと、どこかで、風が吹き
今しばらくの静寂と愛のひととき、小さな星の一瞬のきらめきとともに。
その時間を永遠にして届けよう、儚く愛しい者たちへと。
