心の瞳で

心の瞳で

自分たちが求めていたものは、本当はすぐ近くに

楽に手を伸ばせるものであって

結果的にそちらの方が重く自分で動くよりも

軽くだいぶ早かったりする。

それがまさしく、傍らにいる彼らの力を借りて

進んでいくということなのだろう。


「また少し今までと違ったものを描こうと思ってるの」

「いいよ。でも、私が書けるものであるといいけど」

「十分にあなたも書けるものよ」

「そうかなあ。君は絵をさっさと仕上げてしまうし。筆で追いかけるのが大変だよ」

「あなただからできることだもの。頼りにしてるわ」

千迅は思わず手のひらで、ぱしっと自分の顔を覆った。

「これだもんなあ」

「ふふ。私何か変なこと言った?」

「いいや、もう。いいさ、私もこれで嬉しいしさ」

これで喜ぶ自分の心が、単純な男だと思い知らされる。

「私の絵に合わせられる文が書けるのはあなただけよ」

「それはまた嬉しいことを言ってくれる」

「本当よ。時にあなたの言動が私のインスピレーションに繋がっていくし。あなたがいないと私の力が最大限に発揮できない」

「大げさだな、もう、いいって、少し恥ずかしくなってきたからやめてくれよ」

千迅は喜びが顔に出そうで、ふっとそっぽを向く。

千歳はそれを愛しく眺めている。

「意外と照れ屋よね。あなたって」

「素直に受け留める男の方がそういないよ」

ふふふ、と笑みをこぼす彼女に、千迅はこれでもかというほど

自身の湧き上がる思いに気づかぬフリができなくなっていた。

ああ、これが次を創る彼女の力なのだということも。