「俺を君の視界に入れるのは不快かい?」
急に陰った視界にふと見上げた彼女の視線は、黒髪のカーテンの彼の瞳へ。
千歳の瞳を眺める千迅の、心では彼女の目が力強く、一見冷たい・クールな印象を与えているものを……
その奥に誰か想いの暖かさを秘めていることをしっかりと感じている。
ただ、やはり彼にとっては、彼女の視線は、自身の心をびりつかせる、一種の香辛料のようなもの。
「ああ、たまらないね」
「いきなりどうしたの?」
少し口元を緩めた彼女の、不思議そうな瞳に、千迅は頭を振った。
「いいや。なんでもない」
端的に言えば、彼女の瞳が好きなのだ。嫉妬さえ覚える。彼はそう感じていた。
「私は気になるけど……何だかあなたの視線は意味深だもの」
「そう見えるかい?それは重畳……」
またじっくり眺めた彼の、彼女の視線の先をこの先も。独占したいという切なる欲望は、果たして―――