無邪気な

無邪気な

華やかな世を謳歌するのも悪くない。

自分に禁じていた、花が舞い散るが如く生き方に、憧れを持ち

それを解き放つ時だけ、姫龍が現れる。

「城の中にいては息がつまるでしょう?」

「ええ、でも……私には過ぎた場所だわ。このように華々しいところなど」

心のままに舞っていた彼女は少し視線を落として答えた。

姫としても時期当主。彼女は再び戻らねばならぬ場所がある。

「一瞬の夢だとしても、今はただ。楽しんで」

それがあなたの力となる。

姫龍は、彼女にしか聞こえぬ言葉でそう囁いた。