風薫る季節

風薫る季節

風の都に瑞々しく、若葉が雫に煌めいて、

疾風に撒かれる枝葉が春の香りを運んでくる。

いつもなら、君が夢中になるのは他の絵物語なのに、

今日は隣でよく笑う。

狡い人だ。こういう時だけ、涼やかな笑顔を向けて。

君にだけ翻弄されているのに、君は私に惑わされることはない。

「はあ……面白い。良い風ね」

笑いやんだ彼女が一息をついて、風に心を預ける。

そんなあなたを盗み見た、自分自身を少し恨めしくなる。

見つめるだけで、愛が伝えられたら良いのに、と。