あなたと月の物語

あなたと月の物語

あなたに出会ってから、

あなたを待っていた時から、

再びあなたが姿を現した頃から。

まさかこの俺を、あなたの視界に入られるなんて思いもせず。

ああ、世界はここまで華やかなものだったかと、浮かれた気分になるのはあなたのせいだ。

全て、あなたの。

「あまり上を見ていると、首を痛めるぞ」

茶化すが如く含み笑いを浮かべた主に、ハッとして居住まいを正す。

彼女もまた、自身の主の横に佇んで聡明だが、どこか儚げに控えている。

二柱のめぐり逢いは、この先の物語へと続く。