背中合わせの龍

背中合わせの龍

心の水面に映し出された、魂の耀きを広く保とう。

何者にも脅かされることのない、聖域は

あなたとふたり、いつでもここに。

「ところで、君はここで誰かを待っているのかい?」

龍の宮でいつ何時も揃って漂う私たちは、ひっそりと言葉を交わし合う。

「誰も。どうして?」

「ならばいい」

少しずつの、微妙に近くて遠い、あなたの心の側面が。

私に触れて、そっと寄り添ってくれる。

黙っていても、穏やかに柔らかな雰囲気を放つあなた。

「本当は、あなたを待っているのかも」

私の言葉に少し振り向いた気配で、彼はちょっとだけ狼狽しているのかもしれない。

「ふふふ……。特に深い意味はないわ」

小さく笑みを浮かべて眼前の、あなたを映し出す心の波紋を見つめた。