本当の

本当の

自分を見せるのが怖くて、明るく振舞うけれど、

いつか。遠いどこかで、君に打ち捨てられてしまうのではないかという不安。

がっかりさせてしまうのが嫌なんだ。

本当は心の奥深くで繊細な自分がいて戸惑いも隠し切れずに

「恥ずかしい気持ちになるだろ。そんなの君には見せられないよ」

まるで子供のように呟く千迅は、千歳には本当の少年のように一瞬見えたが、

彼の傍らに寄り、そのまま、

「あなたが自分をどう思っていても、私はあなたを恥ずかしいなんて思わないわ」

「でも失敗だらけだ。君に何も素晴らしいものを見せられない」

「別になにもなくたって毎日素晴らしいわ。あなたといるとそう感じる気がする」

彼女は嘘は言わないし、そして彼は彼女に嘘はつけない。

「そしてあなたとそう感じていたい。これからもずっと」

ただ、そばにいるだけで。

それだけで十分なんだ。