私が見つけた宝もの

私が見つけた宝もの

古い書庫の奥で埃かぶった、たったひとつの絵巻物。

目を凝らしてそれを手に取ると、ふと懐かしさが込み上げてくる。

誰が描いたもので、いつ作られたのか、全く見当もつかない絵巻物語。

”知らない世界を描きたくて描いてる”

頭にふとよぎった、語りかけて来た言葉を頼りに、それを広げようと紐を緩めた。

「何か、いいものでも見つけたのかい?」

背後から優しく声をかけられて、振り向く。

「ええ、とっても。私にとって必要で大切なものを」

そうであってほしいと、少しの願いを込めながら。