ある時ある者たちの昔々の物語

ある時ある者たちの昔々の物語

誰かと生きているつもりで、

気づいたら他に誰もなく、

一人で生きていることを、

ずっと影から見ていた


「あなたのそれはずっと作り続けているけれど、何かを追い求めているの?」

ある女が男に訊ねた。

男は面を陽に照らして答える。

「そういう貴女こそ、ずっとそれを手放さない。何か行き着く先があるのかとずっと訊ねてみたかった」

「その何かは行ってみないと分からないわ」

「ではお互いにそうだということだ」

男が涼しい顔に似合わず快活に笑うのを、

さも私たちは似ていると言わんばかりで

女は少し心外だとでも言いたげな顔をした

「あなたのこと、尊敬はしてるけど、変わり者だと言われたくはないわね」

「それはそれは、お褒めの言葉をありがたく」

男は大袈裟な態度で会釈する。

「褒めた覚えはないけど、まあいいわ」

そんな男を尻目に、女は今日も描く。

時代に取り残された、

孤独で幸せな愛しい者たちを。