こころづまとまでは

こころづまとまでは

あなたの思うところ全てを知ることはできないけれど。

きっと二人、繋がっていると信じて、否、疑わないで。

あなたと共に今日も一日を宝のように生きていく。

「何か思うところがありそうですね」

彼はじっと彼女の様子を見つめている。言葉少なである彼は彼女の言葉をじっくりと待つ。

「お互いの心が少しでも似て近づけていたら良いと思っていたところなの」

「すみません。私が寡黙である故に完全には伝わっていないこともおありでしょう」

彼女は伏し目がちに小さく頭を横に振る。

「いいえ。言葉がなくとも繋がれて分かり合える。それが私の願いだから」

彼女は彼を見上げて、お茶目に笑った。

「だからあなたの言葉数の少なさが、私には必要なの」

魂で永遠に繋がれた仲なら、そのままで。

「しかし……そう言われると、お喋りな私になっていまいたくなる」

自分で言う分にはいいが、彼女に言葉少なと指摘されたことで彼は少し不満気だった。

「あら、良いわよ。お喋りなあなたでも。逆に私があなたより寡黙になりそう」

「それはそれで楽しくない。あなたの話をもっと聞きたいので」

彼は本当に言葉少なだろうか。彼女は瞳を真っ直ぐ彼に向けて嬉しさを隠し切れずにいた。

彼は、不意に顔を背けて恥ずかしさを隠すように黙り込んでいた。