城主と付き龍と…

城主と付き龍と…

通りすがり(?)の絵師たち。

「君たちは神出鬼没だな」

「それは褒め言葉かしら。私たちは龍だけどね」

「いやまあそうだろうよ。龍こそまさに神出鬼没……」

五月雨は少し呆れて付き龍に視線をやった。

「な。私はあそこまでめざとくはないぞ。もはやあの情熱は執念といっても過言ではない」

付き龍、和泉は同じにするなと言わんばかりに首を横に振る。

「それで、一体何があったのか聞かせてもらえる?迷惑なら控えるけど、、、」

「その控える気は一切ない意気込みに免じて聞かせてやってもいい。だが、描き留めるなら美しく描いてくれよ。絵師殿」

一城の主に一人絵師とはよく言ったものだ。

結局のところ城主もその気なのだから、致し方ない。

和泉は嘆息して髭をゆらゆらと弄びその様を眺めていた。