傍にいても、依代を置いておきたくなるのは致し方のないことだ。
大人になる頃に迎えたいと心に決めて。
その独占欲を知ってか知らずか、彼女はそれでも心の底から嬉しそうに笑って、
親しみを込めて依代に寄り添う。
「まあ…ありがとう。とても素敵だわ。あなた、大人になると、ますます聡明になるのね」
自分から差し上げといて、既に依代に嫉妬の念が湧く。
しかし。
後の成長した自分は、彼女に本当に見合うだろうか?
それとも今とは変わらずにいるのだろうか。
あなたは、私の本当の、誰にも打ち明けたことのない気持ちを、
受け入れてくれるだろうか。
「その日を楽しみに、二人で精進していきましょうね」
小雪が風に舞うようにパッと見せた微笑みに、
風花、と。
嫉妬の気持ちも吹き飛ばされ、揺れた心に晴天が垣間見えた。