あなたがそう呼びたいのなら

あなたがそう呼びたいのなら

距離を測りかねている私。

構わず昔のように、入り込み過ぎず、遠慮し過ぎず

絶妙な距離を保つ彼の人。

常に見せる鋭さが、自身の主の楓と似ていて、そして

たまに見せる穏やかさもまた彼女と一緒。

それに心地よさを感じるけれど、

まだ氷の部分を見せてしまいそうな、、

そんな私でも受け止めてくれるかしらと小出しにして。

つい彼を茶化し甘えてしまう。

「ええ。構いませんよ。あなたがそう呼びたいのなら」

まさかその呼び名が受け入れるとは思わなくて、

冗談めいたことを言った私が驚いてしまう。

少しずつ。少しずつ。

心を許した私自身を出していけたら、

きっともっと氷が解けて心地よくなれる気がするから。