「こういうものじゃないかい?」
さっと手渡す千迅の手には、一輪の花。
彼女、千歳は少し戸惑いつつそれを受け取り。
「私はあまりお花は得意じゃないわ」
「ん……花より団子?」
「違うわよ。まあ、それもあるけれど。……お花を摘んだら枯れてしまうでしょ」
「水にさすか、押し花にすればいい」
「うーん……それもなんだか可哀そうじゃない?そのまま咲いているところにあるのが一番よ。おかれた場所で咲きなさい、ってよくいうでしょ」
「ふーん……なるほどね」
「でも、あなたの気持ちは嬉しいわ。ありがとう」
彼女はそれを愛おしいそうに眺めて崩れぬように懐紙の上に置いた。
「ふふん。じゃ、今度もっと君に相応しいものを届けよう」
「さて、あなたに私が求めるものが分かるかしら」
「あらら。言ったね。きっと分かるさ。俺だから」
「すごい自信」
ふふふと笑みをこぼす彼女に、彼も得意げに笑みを浮かべた。