龍に魅入られた娘
暗い鬱々とした黒雨も、私の心を暖かくする、はじまりに過ぎない。
あなたがやってくる合図だと思うから。
幼少の頃より、抱きしめているこの気持ちを、どう伝えたら良いのか、、、
毎夜忍ぶあなたへ想いを巡らしている。
「今日はとても暖かい雨ですね」
するすると。
龍の影を纏って、現れたあなたの姿を垣間見て、心が躍り呟くと、
「それは、あなたの心のせいだ」
私には、濡れた衣も恨めしく、あなたの暖かさに触れたいと…
黒龍の君はしっとりとした髪もろとも一瞬にして干上がらせてしまう。
「さて、私の乾きをどうか、あなたで癒してはくれないか」
灯台の明かりがちらちらと、あなたの妖しい顔を浮かび上がらせていた。