あなたなら、
あなただけなら(特別に)あげてもいい。
自分の盾を木端微塵にして、不器用な愛をあなたに。
ここまでくるのに随分かかった。自分自身と向き合って。
恐怖も超えて絞り出した愛に、あなたは驚いた顔をした後で、
目を輝かせて、「ありがとう」と。
笑顔なあなたの顔を見られればそれで、満足して、
でもその満足は私だけか?と君の言葉を素直に受け取れないネガティブな自分に嫌気がさした頃。
「この愛を受け取って、形を変えて渡して広げて、、たくさんの方々に届く。素敵ね。こんなにじんわりと嬉しい気持ちになれる」
ああ、あなたという龍は。どこまでこちらを深く沼へと。
だからあなたになら、と渡したのに、純白の新雪のように眩しいのだ。
周囲へ愛を広げるなど、あまり意識していなかった自身が、少し恥ずかしい。
「あなたを見ていると学べることが多くて助かります。ありがとう」
ふと笑みを浮かべると、彼女は少し頬を赤らめて顔を綻ばせた。