縁結びの神龍

縁結びの神龍

あの時戯れに言っただけのことが、

まさかこの時に繋がって結びついていたなんて思いもせず。

人の世も、神の世も、どこでどうなるかなんて分からない。

そんなことを繰り返し、繰り返し……続けてきたように思う。

「きっとこういうことをしたかったわ。あなたと」

「奇遇だね。俺もそう思っていた。まあ、君となら、どんなことでもどんな場所でもなんだっていいさ、神としての在り方など」

彼女は彼の言葉にただ、ふふ、と笑みをこぼすのみでどこまでも穏やかだ。

荘厳な雰囲気の神域の中では、見習いの縁結びの神だとしても半端者には見えない。

「まずはひとつひとつの事に大事に向き合わなくてはね」

「そうはしたいが……俺に続けられるものだろうか。途中で飽きてしまうやも」

「それでもいいのよ。また続けていけば。やめるなんて選択肢、私はないと思っているけど?」

「それは俺も一緒さ。そうか。続けてさえいればいいのか」

「そうよ。寄り道してもそれも見習いのうちだわ。この身体も魂も大事にしなきゃ」

何も全て神事のためにある魂だけではない。

己の休息も時には重要だ。

それによりまた再び自身の熱中すべきことに向き合える。

終わりなき物語。

ただ気長に参ろう。