からから、ころころ、と注いだ水が入った器に氷が音を奏でるように、
彼女は、涼し気な笑い声をたてて、彼の話を聞いていた。
彼は、その声に少し戸惑い、聞き耳を立てている。彼女の笑顔も笑い声も好きなのだ。
「真面目に聞いてますか」
「ええ。でも、それって真面目なお話なの?笑い話ではなくて?」
それでも尚、口元を緩ませる。
心許した間だからこそ、和気藹々とした時を楽しめている。
「あなたが楽しそうならそれでよいですが」
「最初は真面目に聞いていたのに、あんまりにもあなたまで大真面目に言うものだから……うふふ」
「真面目真面目と……そりゃ私はあなたより生真面目で堅物な男かもしれませんけどね、そうまで言われると、少し気になりますよ」
「あら、ごめんなさい。でも、あなたのその真面目で誠実で、不器用なところも好きよ」
「不器用は余計だ」
「そう?」
面白おかしくまた、にこにこと笑う彼女に、彼はだいぶ振り回されている。
それでも、彼女の視界にいつまでも入っていられるなら、いくらでも振り回されてやろうという気持ちでいる彼であった。