君の隣を追いかけたあの日々を、穏やかに眺めてふと笑みをこぼす。
籠の中の、蝶よ花よとかしづく者たちの、彼女の心をさて誰が察したものだろう。
花のように笑うこの顔を、果たして見たことがあるだろうか。
そんなことを想いながら、彼女の可愛らしい手元に目をやった。
「そんなに面白がるとは思わなかった」
「あ、ごめんなさい。少し笑い過ぎたわ」
彼女は持ち前の恥じらいを持って居住まいを正した。
「いや、いいんだ。それで」
「それで?」
「そのままでいいってこと」
もう窮屈な場所ではないんだと、きっとあなたに分かっていてほしいんだ。
面白おかしく笑える日々を、どうか大切に。