密かに抱き続けた想いを、君に打ち明けるのもこそばゆく。
背中がかゆくなりそうな気持ちに自分で扱いきれず、しかし伝えないのももどかしく。
それでも真っ直ぐこちらに向かってきてくれるあなたに、申し訳なくなるのは何度目だろう。
「私はあなたほど器用ではありません」
言葉を探しながら逡巡している私を彼女はじっと待っている。
「しかしこのままでは私は狡い男になってしまう。あなたに何も伝えないでいるとどうにかなってしまいそうで苦しい」
想いが膨らむほどに。
鳩尾のあたりから込み上げてくる何かを静観する余裕も残ってはいない。
「今日ははぐらかさないで聴いてくれ」
たまらず彼女の手首を再び掴んで、あの時と異なる君の顔を見るまで後、一秒。