「あなたはなんでも知ってるのね」
少女ながらも大人びた雰囲気を持って男を見上げた彼女に、彼は穏やかな笑みを浮かべて答えた。
「君程じゃないよ。私の知らないことも分かる。特に人の心の機微に関しては」
「そうかしら。まあ確かに、あなたよりかは感情的な部分はあるかもしれないけれど……」
「感情的な時があることを、恥じているのかい?」
「この姿だとはっきり出てくるんだもの……自分を抑えきれない時もあるし」
「そんな君もいいさ。抑える必要はない。その分私が調整するよ」
彼は得意げに笑って彼女の身を抱き直した。
彼女は少し気恥ずかしさを覚えたが、安堵して彼に身を委ねた。