紅葉が似合う君
少し寂しげに私を見上げたあなたを、この腕におさめたい気持ちを鎮めて、
紅葉の一葉を君に。
星の如く闇夜に輝く紅葉もあなたには映えて、私には日ごと眩しい。
あなたが、私を忘れることのなきよう、心に刻み付けておきたいところだが、
いつも射抜かれるのはこちらの方で、口惜しく。
あなたは私には……いや、
「また、日暮れに」
サッと音もなく姿を消したあなたを、影も見えないのに見送り続ける。
私にとっては、あなたが心の中で煌めいて映えるのに。
引け目を感じてるのは、私がそうさせているせいなのだろうか。
少しずつ近づいては、また少し、離れて。
つかず離れず、絶えず傍にいるのに。もどかしく。
ままならぬ想いは紺色の空に溶けていく。