紺色の中で溶け込んだ、最後の星の欠片を
探し見つけて幾星霜。
全ての中に星々を散りばめて、尽きせぬ物語を君と共に。
「これは甘くて背中がかゆくなりそうだわ」
「こうまでさせないと。君はゆったり進め過ぎて成就する頃には年が明けてしまうだろうよ」
せをはやみ…とまではいかなくとも。
早く進めようとする榊に、楓はゆっくり諭す。
「ゆったりした恋というのもまた良きものよ。ひとつずつ味わってこそ。紅葉の景色だってすぐ見ただけじゃつまらないわ」
「君はそうもっともらしいことを言って、ただ単に、そうすぐには進展させたくないんじゃないか。あまり恋愛しいことは苦手とか」
「そ、そんなことないわよ。進め方にも必要な過程というものが……」
いろいろと言葉を並べ立てつつ、少し慌てた様子の楓をみて、口元が綻ぶ榊であった。