ゆらめく風の道すがら

ゆらめく風の道すがら

あちらこちら、ぶつかってみたり、戻ってみたり、進んでみたり。

先に進むことだけが正義じゃないと気付かされたこともある。

ただ立ち止まるのは怖いからただ進むしかなくて。

それなのに、止まりたくなる時に、原点に気づく。

「好き、それだけでいいのよね」

千歳が小さく呟く。千迅はふと彼女の視線の先に、同じように笑みを浮かべて頷いた。

「私はずっとそれだけだったよ。今も」

静かな夜闇の中に、ふたつ星。