「あなただ」
と、彼女の手を掴み、黄色い水仙をいつ差し出すかと惑う手を、
彼女を捕まえている手に力を込めて。
「もう一度……」
ああ、それを素直に言えたなら。
そんな気持ちを託して、水仙を彼女の瞳にうつした。
あなたの心をいつだって、私のものにしておけたなら、どんなにか。
それでも、風のようにどこかへ旅立って行ってしまいそうな君を。
「行かないでくれ」
と呼び止めることができたなら。
そんな資格が自分にあったなら…
どんなにか。
そう、この黄色い水仙の意味を、
「もう一度、愛してほしい」
と、言葉にできたなら。