「とりとめのない話を、もっと聞かせてくれよ」

「とりとめのない話を、もっと聞かせてくれよ」

世界は恋に落ちている。

色めきたつはずの二柱が、穏やかに時間を共有しているだけなのに、

どうしてか、この時が愛しく恋しい。


「とりとめのない話を、もっと聞かせてくれよ」


退屈ではないかとはたと気付いた彼女に静かに微笑む。

これ以上ない歓びだと伝わればいい。

そんな二人を見守り、包み込み、恋する世界もまた愛しい。