それまではいつだって余裕な雰囲気を醸していたのに。

それまではいつだって余裕な雰囲気を醸していたのに。

それまではごく普通に接することができていたのに。

彼女の新たな一面を知る度に、心の沼に足を取られ、平静でいられない自分が

これはいけないとブレーキをかける。

しかし、だからといって、彼女に対して不遜な態度はしたくはない。

「すみません、なぜか最近調子が悪くて」

「いいえ、何も気にしてはいませんわ」

それまではいつだって余裕な雰囲気を醸していたのに。

急に彼の態度がよそよそしく感じられて、少し心が躍る。

だって、いつだって同じ空気感だなんてつまらない。

いついかなる時も完璧な彼が少し揺らいでいるのを見たかったのだから。