思いがけず

思いがけず

しんしんと降り積もる深雪のように……静かな始まりを予感している。

周りより一歩さきをゆく、君へ贈ろう、世の華やかさよりも

本物の唯一無二のものを。

それを君もきっと求めていたはずだから。

「次の展開?」

「ええ。先に決めておきましょう。みんな油断しているでしょうし、ここで度肝を抜くような作品を仕上げてきたら、きっと驚くと思うの」

千歳は瞳に少し幼さがあるようなきらめきで、千迅を見た。

千迅は、その様子に既に驚いている。

「やっぱり急ぎ過ぎているかしら?」

「ああ、いや、何か受け取る時よりも、君の瞳は輝いているなと」

「そうかしら。受け取るのも純粋に嬉しいのよ。でも、その……自分の能力を本当の意味で発揮できることが、できなかった頃と比べたら……とても嬉しいのよ」

彼女の笑みはこちらもつい笑顔がこぼれてきてしまうような、そんな誘いを受けて。

「そうか、そうだよな。君にとっては何よりも嬉しいはずだ。だったら、俺は君の喜びのために動こう。君が心置きなくそれに邁進できるように」

「ありがとう」

ふふ、と笑みを浮かべる彼女の表情は、さながら、

雪道に寒さに負けずに咲き誇る、一輪の花のようだ。

そうだ、ここに、それはあった。

何よりも代えがたいものが。