交わらない世界に、ただひとつ。

交わらない世界に、ただひとつ。

「あなたにずっと会ってみたかったの」

微かに笑うだけのその人を、

待たずにくるくると表情を変えて話す幼子。

交わらない世界に、ただひとつ。

互いの想いだけが交差して、夢を語り合う。


しかし本当は言葉など不要で、

同じものを心に持っているからこそすぐ気付く。

それでもやはり、どんな人なのか何を考えていたのか、誰に恋をして、何に苦悩し、喜んだり悲しんだり、怒ったり笑ったり、ほっとしたのか、幼子は知りたがる。

その人は何も語らない。

ただ、「いつか」とその一言だけ。

もどかしさを抱えながらもそれに頷いた頃、互いの道を再び歩きはじめる。