瞬く星のように、山々に浮かび上がる灯篭のように。
見る者の心に驚きと感動と、胸のあたたかさを。
その灯をたやさぬように、そう、君におまじないをかけてあげよう。
「千の灯りを人々のこころに届けられるように、君の躍進を祈っている」
いまだ小さな彼女の手は、固く握られ決意の表れに見えた。
「誰の目にも止まらなくても、流し続けなければ届くことはない。だから流し続けます。清々しささえ感じられる灯のあかりをいつまでも」
ゆっくりと頷き返し、彼女のひとみを見つめた。これで完了だ。
「さあ、行っておいで」
そよ風が吹き抜ける少しの間、彼女は一瞬、寂しいそうに肩をすくませたが、
すぐに背筋を伸ばし、堂々と笑みを浮かべて元気よく頷いた。
そう、君のこころにも、千の灯をともしていく物語だから。