あなたと私の間には、大きな隔たりがあった、はずなのに。
彼は、私の心の奥に軽々と飛び込んでくる。
その軽やかさに、少し、嫉妬している。
「あなたは、当主なのだからもう少し自覚を持った行動をしたら」
「あなたと同じ、ね。まあ悪い気はしない。けど、つまらないさ、務めなど。こうして君と話している時間が俺にとっては一番の務めであり使命なんだ」
使命。彼は度々この言葉を口にする。まるで、親の仇のように苦々しさを込めて言っているような気さえしてくる。
「でも、あなたの能力って素晴らしいわ。きっと素敵な何かが生まれそう」
「あなたのためならそれを使うことは厭わないけどね」
自分の能力を持て余さないで、なんて偉そうなことは言えない。
けど、何だか彼を見ていて少し、歯がゆくて。それでも。
「こうしている時間も、今のあなたには必要なのでしょうね」
そして、私にも。