ただ何もない夜を君と二人なら、それだけで楽しくて、
傍にいるだけで心地よい。
いつまでも一緒にいても、飽きない関係をこれからも紡いでいきたい。
ずっと以前からこうしていたような気がして、
あなたとの深い縁を感じてやまない。
「まだ起きていますか」
「寝てます」
しばらくして、笑いを堪えきれずに彼女が続けた。
「ふふ。……いいえ、起きてるわ。何かしら」
お茶目な彼女の言動に、慣れていたとしても彼は安堵しつつクツクツと笑みをこぼす。
「特には何も。ただ少し君の声が聴きたくて。迷惑ならいい」
「あら、それならお安い御用よ。心許した方になら」
豊かな時を本当に過ごしていたいあなたと共に。
秋でもない夜長をいつまでも。