
昔々の物語。
ある一人の城主が、ただひとり。
だだっ広い屋敷の奥間で、ただひとり
その背に抱えるものの、なんと大きなこと
一人で背負うには重すぎる荷を
自分のことは差し置いて、
「全て置いていけばいい」
と、誰にともなく語りかけた。
君の夢が、ここの現実だから
孤独とやるせない日々の、その先に
いつの日か君と逢えるように
そう心に託して。
儚い願いだとしても何もないよりずっといい。
小さな希望の星を胸に生きていけるなら、空っぽの時よりずっといい。
ー
ある一人の絵師が、ただひとり。
浮き世に流されそうになろうとも、
ひとつひとつ、過ぎ去るものを置いていき
懸命に己を生きて。
夢を現実に、現実を夢にして生きて、はたと気づく。
誰のためにここに在って
誰を愛し、愛されたいと願っていたのか
遠い遥か向こうの、違う時代に生きたあなたに
まだ顔も知らないけど、存在していると分かる
ただひとりのあなたに会いたくて。
心を通わせたくて、今まで、ここまできて
諦めきれない。
どうかその声を消さないで。
高い檻の中で、どうか繋がることを諦めないで。
そのために、ひとつひとつ、こちらに分かるように自分の存在を仄めかしてきたのではなかったの?
あなたが本当に望むなら、
早く本当のあなたの背中を見つけに行くから、待っていて
どうかその刃を、自分を守ることだけに。

