「ね。軍師さん」
あなたがそう呼びたいならと。
承諾されてもすぐに呼ぶのは憚られて、
忘れた頃に呼びかけたのに、
「ええ、私もそのように考えておりました」
待ってましたと言わんばかりに、驚きもせず普通に受け答えをされてしまってなんだかつまらないわ。
まるで私との会話は全て覚えているとでも言うように接するあなたが少し憎らしいの。
こちらが驚く顔を見せるのもなんだか癪だから、努めて冷静でいたけれど、
私ばかりが翻弄されている気がして面白くない。
次の一手は……と思考を巡らせている中ではたと気付く。
彼の罠にまんまとはめられていたことに。