夢の中で繰り広げた物語でも、私たちには煌めいて、描かずにはいられない。
二人の時から生まれた百千のお話を、いつまでも。
この永遠の時が、二人にとっても心からの喜びでもあり、魂の答えでもあった。
「次は何を描こうかしら」
「おっと、その前に私の人形創作に手を貸していただきたいのですが」
「まあ。私は今は描きたい気分なのだけど」
「つれない方ですね。たまには私に付き合っていただけませんと」
男は余裕な笑みを浮かべて女を見た。
「分かったわよ。無心に手を動かしていたらいい絵が思い浮かぶかもしれないものね」
「ああ、いけません。そのような心持ちで制作しても、人形に魂は込められない」
女は困惑した笑みをたたえて答える。
「私の魂は絵に込められるもの。人形に込めるにはやっぱりあなたでないと」
「あなただからいいんですよ。否、あなたでなければ」
男は女が込めた魂を欲している。
彼女でなければ、自分の込めた魂の人形の相手はつとまらないと感じていた。
「そこまで言うなら……」
照れ隠しに顔を背けた女に、満足気な男はじっと彼女を見つめた。