「あなたはあなたのままでいて」
今まで変わらなければと、背伸びしていた自身を
変わらぬ瞳で諭す君。
この心のままで、この姿かたちそのままでいても、何も変わらないというのに、
ただ一つの言葉で自分が今までと違うような気がして
晴れやかな心地になる。
それでも泥鼠が這い上がってくるように不安が頭をもたげ、いたたまれない気持ちになる。
心もとない気持ちを表情で悟られるのが怖くて。
それでも目を逸らせない。
傍にいてくれている時さえ弱いままの俺を黙ってただ見守ってくれる。
「期待はするな、うまくいく保証はない」
「それでも傍にいるわ、あなたがそれを許すなら」
進むほかないじゃないか、君の為なら。