愛の方向

愛の方向

「ちょっと試してみたいことがあるんだ」

ふと彼が振り向き彼女に視線を移した。

「うまくいくかは分からないけれど……その方がもっとより良い時間が過ごせると思うから」

彼の提案に千歳は頷きながら耳を傾けている。

その様子をじっと見つめる千迅は言葉を紡ぎながら、

心のどこかで、愛しい気持ちが泉のように湧き出ていた。