「今回もとてもいい出来だわ。私は天才ね」
なにものにも代えがたいもの、この世のどんなものよりも。
魂が求めるもの、今まで探してきたものに、辿り着いていたと気付いた時には、
もうすでに。望むものは、今ここにあり。
ただ描けるだけ。それだけで十分に。
「君はいつだって優れているさ」
急に背後から声をかけられて、千歳は肩を大きく揺らした。
「聞いてたの?」
なんてことはないといった様子の彼を見て、彼女は、若干の恥ずかしさを隠しきれずに目をそらし。
「君は天才」
「やめなさい」
少しからかい口調の彼に、ぴしゃりとたしなめる彼女の愛おしさ。
それも、なにものにも代えがたいものである。