できた!

できた!

「今回もとてもいい出来だわ。私は天才ね」

なにものにも代えがたいもの、この世のどんなものよりも。

魂が求めるもの、今まで探してきたものに、辿り着いていたと気付いた時には、

もうすでに。望むものは、今ここにあり。

ただ描けるだけ。それだけで十分に。

「君はいつだって優れているさ」

急に背後から声をかけられて、千歳は肩を大きく揺らした。

「聞いてたの?」

なんてことはないといった様子の彼を見て、彼女は、若干の恥ずかしさを隠しきれずに目をそらし。

「君は天才」

「やめなさい」

少しからかい口調の彼に、ぴしゃりとたしなめる彼女の愛おしさ。

それも、なにものにも代えがたいものである。