夢中な君を

夢中な君を

(つなぎとめたい)

などと。

言えるはずもなく、ただスルリとかわされる彼女の髪に弄ばれて、ただ目で追うだけになってしまう。

「君はあちこちに興味の方向がむいて、まるで私を試しているようだ」

「そう思わせたなら、ごめんなさい。でも……」

色とりどりの瞳は、私を映してはいない。

だからこそ、追いかけたくなってしまうのだろうか。

あなたが、他のところへ行こうかとそれを感じる度に。

引き留めたくて、繋ぎ止めたくてたまらない。

私の魅力をもって繋ぎ止めれば良いものを。そんなことは分かっている、けれど。

惑う袖口の手指を、手持ち無沙汰で遊ばせて、今日も君に悶々と。