心拍数を上げられる今日この頃。
このままでは、あなたの疾風に吹かれて葉桜でさえも散ってしまいそう。
「それで、今日はどこへ連れていくつもりなの?」
葉桜の姫君はふと目をそらして彼の言を待った。
「どこへでも、といいたい所だけど……たまには屋敷にいるのも悪くない、皆と共にね」
五月雨は妖しく笑みを浮かべて彼女の様子をうかがっている。
「それとも……二人きりがいい?」
彼女は非常に驚き目を丸くして答えた。
「まあ……!皆と一緒が良いわ。その方が余程安心よ」
「それは残念。ではまたの機会に」
彼女の背けた頬は紅く。
いつかの二人きりを、彼の瞳にははっきりと見えていたのか、悪戯狐のような無邪気な笑みを浮かべていた。