昔々、あるところに……
絵を描くのが大好きな龍神がおりました。
龍神、千歳は、常々はりきって池の底で描き続けていました。
しかし、絵を描くのと同じくらい、
彼女には、心から愛してやまない雄龍がおりました。
その手に大事に握られた文は、彼からのもの。
少し遠くに住んでいる彼は、また別の池の主として、千迅と呼ばれていました。
しかし、千歳は、いざ彼を前にすると……
借りてきた猫……ならぬ、龍のようになってしまうのでありました。
愛をはぐくむには、まだまだ未熟な二龍の主。
その恋路は、暖かく見守ることといたしましょう。