紺龍の思い

紺龍の思い

君の沈んだ心を元気付けようとも、

私はあなたの半分も知れていない。

そんな自分があなたにかけられる言葉など、存在しないのかもしれないが、

「ただ、何も言わずに傍にいても?」

彼女は俯いた表を上げて頷いた。その瞳は少し安堵している、と思いたい。

「胸の内は言いたければ何なりと。何も言いたくなければそのままで」

彼女は言葉の代わりに少し涙が滲み、私は動揺しつつも、穏やかに受け止めた。

彼女は晴れやかな顔よりは、まだ曇り空だが、瞳は澄んでいる。

まるで雨上がりの道に残った澄みきった水面が、青空を映しているように。

それから、静かに彼女は語り始めた。