「5年待ったなら10年20年待つのも変わらないわ」
気の長い話だ。
そんなことを言ってのけてしまうのはあなたが多くの経験を積み、
忍耐強く過ごしてきたからだ。
自分には到底受け入れられそうもない。
どうしても、必要なんだ。
なぜ私だけ。と、言葉にはできないけれど、ずっと黙って待ってきた。
「掴もうとすればするほど逃げていくのよ。もっと気を楽にして願ったら後はそのままに」
楽しめと。
それができたら苦労はしないものを、しかし。
それが事実だ、何も言い返せはしない。
「あなたはどうしてそう余裕でいられるのでしょう」
「余裕なんかないわ。今を生きてるだけよ」
今、今。
元々似ている私たちだから、分かるものだがもどかしい。
「その人に会いたいなら、今を生きて。その日をわくわくして待っていて」
わくわくなんて言葉、私には似つかわしくないのに、あなたはそれを選ぶ。
「あなたの中の愛を感じて、その人に対する愛を」
「あなたは創れる、でも私には」
「創る必要はないわ。表現方法が違うだけ。あなただけにしかできない方法がきっとある。彼の人への愛を叫ぶ方法が」
その前に、一旦休むことだと、彼女は頷いた。
心に余白がない内は、ゆっくり過ごして、心に従えと。
頭を悩ますことから思考が離れられたら、どんどんとその方法に引き込まれて誘われていくのだと。
「あなたは頭が良すぎるから、まず思考から手放しましょう」
はじめの一歩がとてつもなく難しく思えるが、果たして。