皆が寝静まる頃、二人で語り合うことに夢中になって時間を忘れてしまう。
「もう夜も更けた。そろそろ……」
少し俯き加減で頷く菘。
その時、カタンと格子の音が響いた。
静かな夜だからこそ、やけに音が大きく聴こえすぐ気付く。
「あれ、二人とも何をしてるんだ」
目を擦りながらあくびをかまして出てきたのは春之だった。
篠一に付く龍神でありながら、まだまだ子供っぽさが抜けずこういったことには察しが悪いのは致し方のないことだ。
「いや、なに、特には」
篠一の慌てふためく様子を見て、菘は笑いをこらえきれず口元をおさえている。
「夜更かしもほどほどにしろよ。ふあ」
大人ぶって生意気な口をきくのも、今の篠一にはしてやられたような気になっている。
そんな彼に耳打ちをする彼女。
「また日を改めて」
この一瞬が彼女の艶やかさをより際立たせていた。
大人過ぎず、子供過ぎず、そんなあなただからこそ魅了される。