”月はまだ見えませんか”

”月はまだ見えませんか”

”月はまだ見えませんか”

何度問うたことだろう。

今か今かと待ちぼうけて過ぎた

気が長いものよ。

君は頑なに姿を見せない。雲隠れにもならない闇に閉ざされた見えない月。

幾度声を揃えても、ただ一つ、

欠けたものが一つだけ。

根回ししたとて他愛ない。

過ぎ行く季節を数えるのはもうやめた時

「龍さまは起きていらっしゃいますか」

ハッとしてその涼やかな声の主を捉える。

そうあなただ

「あなたが望むなら」

君の手をとって、今ここに。